「とちぎ公労使共同宣言実現会議」は、平成28年に栃木労働局が設置し、公労使が連携し「働き方改革等の実現」に向けて協議を行いました。「とちぎ雇用維持確保・テレワーク等推進会議」は、令和2年にコロナ禍の厳しい雇用情勢を受けて、「雇用の維持・経済活動の回復」のため、今日まで協議を続けてきました。しかし、新型コロナウイルス感染症は、5月には5類に引き下げられることになり、一日も早い社会経済活動の正常化に向けて取り組まなければならない局面を迎えています。今後は、ウィズ・ポストコロナ時代となることから、この間の経験を踏まえ、改めて公労使による「とちぎ公労使共同宣言」を発出し、その実現に向けて、本日新たに「とちぎ公労使共同会議」を設置することになりました。
「とちぎ公労使共同宣言」全文
新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、社会経済活動回復のための環境整備が進められているが、国際的な原材料価格の上昇に加え、円安の影響などから、日常生活に密接なエネルギー・食料品等の価格上昇が続くなど、県内経済を取り巻く環境は厳しさが増している。
このような中、成長と分配を共に高める「人への投資」をはじめ、科学技術・イノベーションの投資などを柱とする「新しい資本主義」の実現に向け、持続可能な経済成長を目指すために、「物価高・円安の対応」、「構造的な賃上げ」、「成長のための投資と改革」に向けた取り組みが進められている。一方で、コロナ禍前から進められてきた、長時間労働の是正、テレワーク等の多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保などの働き方改革に引き続き取り組み、ワーク・ライフ・バランスの向上や女性活躍の推進を図っていくことが求められている。特に、女性活躍の推進については、本年6月に開催されるG7栃木県・日光男女共同参画・女性活躍担当大臣会合を契機に、更なる取り組みを進めていくことが重要と考える。また、少子高齢化による生産年齢人口の減少に伴う労働力不足により、人材の採用が困難な状況にあり、若年者をはじめとする多様な人材の確保と育成が多くの企業の持続的発展に向けての課題となっている。このようなことから、栃木県下では、経済団体、労働団体、行政機関はそれぞれの立場で連携し、地域の活力を維持・発展させることに取り組んできたが、さらにウィズ・ポストコロナ時代に対応した働く環境の整備や社会経済活動を進めるための諸課題に対応していくため、以下の事項について互いに協力・連携して、オールとちぎで取り組むことを宣言する。
記
- デジタル化への対応やワーク・エンゲージメントを高める雇用管理などにより労働生産性の向上を図り、賃金の引き上げや非正規雇用労働者の待遇改善を図るための同一労働同一賃金への取り組みを推進する。
- 長時間労働の是正、良質なテレワークの実施などの多様で柔軟な働き方の普及など、働き方改革をさらに進め、ワーク・ライフ・バランスの向上を図るとともに、職場における女性活躍への取り組みを推進する。
- 雇用の維持や労働者のスキルアップを図るため、企業間の出向や労働移動の取り組みへの支援を推進する。
- 人材確保への取り組みや、「人」への投資を強化するため、リスキリングや職業訓練を支援し、再就職や正社員化、キャリアアップを強力に進めていく。
- 労働分野での新たに生じる将来的な課題等へも対応していく。
この会議の構成は、経済5団体(経営者協会、商工会議所連合会、商工会連合会、中小企業団体中央会、経済同友会)連合栃木、市長会、町村会、県、労働局、オブザーバーに足利銀行、栃木銀行、働き方改革推進支援センター、県社労士会などです。
今回の共同宣言では、栃木県のコロナ禍で傷んだ社会経済を立て直し、長時間労働の是正や労働生産性向上、「人への投資」など、ウィズ・ポストコロナ時代に対応していくことについて、認識合わせを行い調印ました。公労使によって宣言が発出されたことは、意義深いものであると受け止めています。公労使が連携しオールとちぎで取り組んでいくことはもちろんですが、連合栃木は、すべての働く皆様の代表として「働くことを軸とした安心社会」の実現を目指して参画してまいります。皆様のご理解とご協力をお願いします。