ウクライナ侵攻から1年


 ロシアによるウクライナ侵攻は、今日で1年が経過しますが、終息の目途は一向に立っていません。20日アメリカバイデン大統領がウクライナの首都キーウを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領と会談を行いました。5時間ほどの滞在となりましたが、歴史的な訪問となりました。バイデン大統領は、ロシアのウクライナ侵攻をくい止めるために日本円で670億円規模の軍事支援を表明、また、対ロシア制裁を強化すると述べました。

ウクライナ出身の国際政治学者グレンコアンドリー氏は、歴史的な出来事でそもそもウクライナにアメリカ大統領が来ることは、ブッシュ大統領以来であり、安全が確保できていない状況の中で訪問したことについては、ハードルが高かったと思う。その高いハードルを乗り越えてでも訪問しウクライナとの連帯を示すことが、いかに大事か物語っている。メッセージとしては、これからもアメリカは、支援を続けていくということを示している。今回の電撃訪問は、勇気を与えられた行動であり、ウクライナが勝利するまで支援を続けるという証であり、負けられない戦いであるという認識が強くなり、称賛されているということです。一方、ロシアのプーチン大統領は、22日モスクワで開いた大規模な集会で演説し、「ロシアの人々の団結のために、万歳!」と声を張り上げ、ウクライナ軍事侵攻での勝利へ国民の団結を訴えました。このようなことを考えると、終息どころか長引くことが予想され、罪のない一般人を巻き込んだ犠牲者が、この先も増えることになり一日も早い解決を望むものとしては、いたたまれない状況です。

今後、ロシアのウクライナ侵略が長引いてエネルギー価格が高止まりしたり、脱炭素に向けた取り組みを進めるための新規投資などを拡大させていったりすると、エネルギーコストが上昇していくことが予想されます。企業にとってはコストの上昇につながるため、どこかで販売価格を引き上げていく必要が生じます。しかし、すべての業種で適当な時期に販売価格を引き上げることは、なかなかむずかしい状況です。そのため、日本経済全体として、まずはエネルギー源の多角化や調達先の多様化などを進め、エネルギーの輸入価格を抑えながら、エネルギー生産性を向上させることがもっとも重要だと専門家が言っています。それでも補いきれない場合には、企業・消費者の間でエネルギー価格の上昇をどのように負担するのか、議論を深めていくことが必要となります。

 このような状況下で取り組んでいる2023春闘ですが、働く仲間や家族、納税者の皆さんが、燃料費高騰と物価高で苦しい生活を強いられている現状を踏まえ、連合は、28年ぶりの高い要求を行っているところですが、結果が伴う取り組みを進めてまいりたいと考えています。そして何より、栃木県はモノづくり県であり中小企業で支えられています。中小企業で働く労働者は、日本で働く労働者全体の7割を占めるといわれています。その皆さんの賃金が上がらなければ真の意味での賃上げ実現とは言えません。そのためには、適正な価格転嫁が必要です。政府は、適正な価格転嫁が行われるための環境整備として、Gメンを増やすといっています。この2023春闘ほど、社会の注目を浴びたことは、久しいと感じています。今こそ、一人ひとりが主役となり、そのうねりを全体で受け止め、賃上げ実現をなし得たいと考えています。皆様のご支援よろしくお願いします。