新年の挨拶


 新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。昨日は連合栃木「2023新春のつどい」をホテルニューイタヤのご協力をいただき、来賓として栃木県副知事の末永様、栃木労働局長の藤波様をはじめ友誼団体、労働者福祉団体など多くの参加をいただき開催いたしました。私の挨拶を紹介し新年のご挨拶とさせていただきます。

 昨年の流行語大賞は「村神様」「ブラボー」がノミネートと、いずれも日本中を熱狂の渦に巻いたサッカーワールドカップやNPBセ・リーグ優勝のヤクルトスワローズの村上選手の活躍を称えるものとなり明るいニュースで感動をもらいました。一方で、「オミクロン株」や「キーウ」「国葬儀」がランクインする等、コロナウイルス感染症やロシアによるウクライナ侵攻、安倍元総理銃撃事件など、暗いニュースも多くありました。振り返りますと、3年が経過しましたが、コロナ感染症に振り回された年でした。更には昨年来、ロシアによるウクライナ侵攻がもたらす燃油高騰による物価高、円安が私たちの日々の生活を尚一層苦しめ続けています。これらは特に弱い立場・不安定な立場にある方々の雇用と生活に深刻な打撃を与えています。今こそ私たちは、困難な状況にある皆様に寄り添い「必ずそばにいる存在」となり、誰一人取り残されることのない包摂に満ちた社会を実現できるよう運動を進めていかなければなりません。

 時間の関係もございますので、2点について述べて、挨拶とさせていただきます。先ず1点目は、2023春季生活闘争です。2022闘争は一定の成果を収めることができ、「労働組合が社会を動かしていく『けん引役』として一定の役割を果たすことができた」と総括をしました。しかし、世界に目を向けると依然として日本の賃金水準の回復は十分ではなく、1997年のピークに戻っておらず先進国のなかでは最下位争いをしています。それは、1990年後半から続く「慢性デフレ」から抜け出せず、抜け出せずにいるうちに、エネルギー価格をメインとする輸入価格高騰が引き起こした「急性インフレ」に襲われてしまい、身動きができなくなっているからです。「慢性デフレ」から脱却し、家計と企業が「急性インフレ」に対応するためにはとにかく賃上げが必要です。現在、日本の実質賃金はマイナスで推移しており、賃金が物価に追いつかない状況が長く続けば、内需の6割を占める個人消費が落ち込み、世界経済の減速とあいまって深刻な不況を招く恐れがあります。すべての働く者の賃金をしっかりと引き上げていかなければなりません。さらに「エネルギー・原材料価格の高騰は、企業収益を圧迫し、人材維持・確保のための賃上げ分も含めた価格転嫁ができなければ、事業を継続できない」との声があがっています。賃上げのネックとなっている最大の構造問題は、デフレマインドが払しょくできず、適正な価格転嫁がスムーズに進んでいないことにあります。政府は、労働者の7割を占める中小企業においても、5%程度の賃上げが実現できる環境を整えるべきです。

今回、28年ぶりに賃金要求指標として5%を提起したことに世間の注目が集まっていますが、決して目先の物価高に対応するためだけではありません。私たち労働組合がなぜ春闘に取り組むのか、賃金は労働の価値であり、暮らしていくうえで必要な原資であることは言うまでもありません。それ故に組合員の期待は大きいものがあります。増して先ほどから申し上げていますように今次の春闘では、公共料金が軒並み上昇し、東京都の12月物価上昇率が40年ぶりに4%になるとの報道があることから明らかです。私たちの春闘は、ただ単に賃上げを要求することではなくて、組合員一人一人の声をもとに職場単位で討議を行い、賃金要求額を決定し、団体交渉に臨み都度職場との意見交換を行い妥結に至ります。私は、この春季生活闘争ごとに組合員の団結力、一体感を感じてきましたし、企業の発展はここにあるものと確信しています。岸田総理が言うから、経団連の会長が言うから、ということではなく労使が企業の置かれた立場を確認し、将来を描く貴重な機会と認識しています。しかし、残念なことは日本の労働組合組織率は、最新で16.9%となっているということです。労働者の8割が春闘の蚊帳の外ということです。連合は「2030組織拡大プラン」を掲げています。全ての働く皆さんの闘争となるためにも、一人でも多くの仲間を増やしていかなければなりません。関係各位の引き続きのご支援、よろしくお願いします。

 もう一つは、選挙について触れさせていただきます。昨年は、中間地方選挙において連合栃木が推薦した栃木市「福田、内海、小太刀」議員、日光市「川村、青田、斎藤」議員、那須烏山市「高田」議員、壬生町「落合」議員8名全員を押し上げることができました。また、7月施行の参議院議員選挙では、連合推薦、構成組織から比例区9名が立候補し、8名を押し上げることができました。栃木選挙区では、「いたくら京」氏を推薦しましたが、残念な結果となりました。ご支援いただきました皆様に感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

また今年は、統一地方選挙、中間地方選挙が行われます。後ほどご紹介の時間を設けていますが、上三川町長選挙、県議会候補予定者10名、市町議会議員候補予定者17名、全員の推薦を決定し、全力で支援していく決意です。4年前の前回の統一地方選挙のときと比べても、国民生活や地方を取り巻く環境は、悪化していると言わざるを得ません。少子高齢化・人口減少に歯止めがかからない、大規模な自然災害が後を絶たない、新型コロナウイルス感染症により人命が失われ社会・経済活動が停滞をしている、など社会の基盤が揺らいでいます。このような状況の中で行われる統一地方選挙は、それぞれの地域での暮らしを守る戦いになることは間違いありません。統一地方選挙も、国政選挙と同様に、投票率は下落の一途をたどっており、住民の地方政治への関心が小さくなっています。地方政治の重要性は大きくなる一方で、政治への関心が低下する反比例の状況では、住民が一体となって地域を育て、盛り上げ、自らの命と暮らしを守ることへつなげていくことは困難です。連合は、働く者・生活者の立場にたった政策の実現に尽くすため、連合が推薦する候補者への積極的な支援を行うことで、政治への関心を高めていきたいと考えています。構成組織、地域協議会の皆さまには引き続きご理解とご協力をよろしくお願いします。

 結びになりますが、今年の干支は「卯」です。漢字の「卯」は、門を無理に押しあけて中に入りこむ様子を表した字だそうです。これは、草木が伸び出て地面を覆うようになった状態を表すと解釈され、茎や葉が大きくなる様子を表すということです。コロナ禍で閉塞感漂う状況から、一転して明るい兆しがあるように、連合栃木に集う、構成組織、地域協議会の皆様が、益々発展すること、皆様の今年一年が素晴らしい一年となることをご祈念申し上げ、連合栃木2023新春の挨拶とさせていただきます。