裾野市さくら保育園事件について

 2022年も残り僅かになりました。暮れの過ごし方にはそれぞれ各家庭によって違いがあるようですが、我が家ではお歳暮を贈り年賀状の準備、クリスマスが来て、大晦日、そして年越しといったパターンで変わり映えしませんが、ここ近年は新たに餅つきを行うようになりました。今の家に越してきたばかりの時は実家で使っていた臼を借りてきて年末に近所の皆さんと餅つき大会を行いましたが、今は餅つき機で短時間に出来上がります。つきたての餅は柔らかくてとても美味しいものです。一押しはつきたてにきな粉、そして雑煮です。皆さんも試してみてはいかがでしょうか。

 さて、今年も子供の事件事故が、相次ぎ報道されました。通園バスに置き去りにされて亡くなる事故や、保育園に預けたつもりになって、車の中に残された事故もありました。そして、裾野市さくら保育園で起きた事件も衝撃でした。保育士の3名による園児に対する虐待です。耳を覆いたくなるような事件として報道されています。詳しい事実関係については、今も調査が続いていますが、真相はまだ明らかになっていません。私がショックを受けたことは、3人の保育士さんの顔写真と実名を挙げて報道されたことです。私たち労働組合の立場からすれば、管理監督者による義務違反がまず初めに在るのではないかということです。確かに、今回の事件で実際に虐待という行為が行われたと仮定して、実際に手を加えた方が3名の職員であれば、当然何らかの処罰は受けなければなりませんが、逮捕されなければならないのは「不適切な保育をしている」と報告を受けながら、何も対応をしていなかった責任は大きいと思います。宇都宮市でも2014年に認可外保育施設「トイズ」で当時9か月の子供が亡くなる事件が発生し、施設長に懲役10年、宇都宮市にも責任があるとして6300万円の一部を支払う判決が出ています。

もう一方で、当園の保育士さん皆さんの働き方はどうだったのでしょうか。元々日本の平均年収が450万円といわれている中で、保育士さんは、もちろん若い保育士さんも多いということもありますが、300万円代台と低賃金です。加えてコロナ禍の中で業務が多忙となり、朝5時に家を出て6時に園に着き、子供たちの受け入れ準備をして、7時から受け入れやお迎えをして、夜は7時までという決まりはありますが、保護者の仕事の都合で遅れることが多く、サービス残業になっていた。先輩保育士からのパワハラや、保育士同士の関係性にも疑問の声が上がっていたと聞いています。労働環境や条件に改善の余地があったのではないでしょうか。

加藤厚生労働大臣は、「早急に改めて全国の施設に対し注意喚起を行い、保育所における実態、自治体における対応について把握するための調査を行う」ということを述べています。先ほども申し上げましたが、保育園に限らず親による児童虐待など増えている状況にあります。根本的な問題は何なのか実態を究明して、対策を講じることが必要です。同じ事件が繰り返し起きていて、増加傾向にある一つの要因に、表向きのかたちだけの対策を行っているからいつまでたっても何も変わらないのではないでしょうか。注意喚起しただけでは何も変わりません。今回は保育園で起きた事件について考えましたが、学校でも子供同士のいじめの問題も後を絶ちません。子を持つ親としては、もっと保育園や学校に関わることも必要ではないでしょうか。悲惨な結果が起きてからでは遅いのです。私たちも他人事のように考えるのではなく、当事者意識をもって地域を含めた日本社会の問題として取り上げ、児童虐待撲滅に向けて取り組んでまいりましょう。

※12月8日~9日は、全国一斉集中労働相談です。
いこうよ れんごうに
TEL 0120-154-052