LRT工事遅れについて


 栃木県民の日を15日に控え、11日(土)「県民の日記念イベント」が県庁周辺を会場に3年ぶりに開催されました。天候不順で心配されたイベントでしたが、県内各地から多くの来場者を迎え、秋に開催する「いちご一会とちぎ国体」の体験やコンサート、県職員による趣向を凝らした展示などがあり盛り上がりを見せていました。コロナ禍の先が見えない状況から、多くのご家族、皆様を迎え笑顔に触れ、明るい兆しが戻りつつあることを実感した一日でした。

 さて、全国で初めて全線を新設するLRT(次世代型路面電車)として注目を集めていますが、昨年1月には用地取得の遅れから開業が当初予定より1年程度遅れて2023年3月になると発表したものの、沿線各地の道路で軌道敷設工事が進み、来春の開業に向けて準備が着々と進行しているように見えていました。しかし、6月3日、宇都宮市は市議会議員協議会で一部区間の工事が約3カ月遅れていることを報告、同区間の完成が2023年の年明け以降になる見込みであると明らかにしました。

LRTは、JR宇都宮駅東口から市東部の清原工業団地を経て、隣接する芳賀町の芳賀・高根沢工業団地まで約14.6kmを結ぶもので、軌道の工事は2018年6月に着工しました。工事の遅れが明らかになったのは、清原工業団地から芳賀町方面に向けて線路が大きくカーブする「野高谷(のごや)町交差点」の区間、同交差点は茨城・千葉方面へと通じる国道408号と、市内と芳賀町方面を結ぶ栃木県道64号が交わる地点で、どちらも交通量の多い地域の主要道路です。同交差点付近は、軌道を道路に敷設した場合、渋滞がさらに激しくなると考えられたことから立体交差となる区間で、LRTは高架線を走行します。遅れた理由は、道路交通量の多さから作業に伴う交通規制の範囲を計画より縮小したため、各種の工事が同時並行で出来なくなったためということです。もともと混雑が発生しやすい場所と認識されていたはずで、交通規制による道路交通への影響予測や工程に見込み違いがあったことは否めません。開業予定時期を2022年3月から1年延期した際は、「開業前費用負担金」として宇都宮市と芳賀町が約5億円を支出。今回も開業が遅れれば同様の負担が発生する可能性がありますが、市は現時点で「工事の遅れ」については発表しているものの、開業時期については具体的に示していないため「その点は何とも言えない」とのことです。

 私は、毎日通勤のために「野高谷町交差点」を通っています。現状は、工事が進んでいて橋脚を立ち上げて橋梁を渡そうとしているところまで進んでいます。一見順調に進んでいると思っていましたが、渋滞のために緩和策として工法を変えたようですが、他に考えられる対策がなかったのか疑問で仕方ありません。渋滞予測はそもそも出来たはずですし、むしろこの1年は、コロナ感染症対策として周辺企業は、テレワークを推進していたため、交通量は減っていたように感じていました。それでも交通量が多いというのであれば、周辺企業や、私のように通勤で使うのなら、通勤経路を見直していただくようにお願いをすることが出来なかったのか。さらに、工事が延長しても費用負担はないということですが、遅れれば遅れるほど人件費や、円安の影響で原材料も高騰し、予算の圧迫に繋がるのではないでしょうか。いずれにしましても、大変な苦労をしているのは、現場を任されている共に働く仲間の皆さんです。安全最優先で、無事に完成すること願っています。