改正民法、成人年齢18歳施行


 新型コロナウイルス感染症の「まん延防止等重点措置」解除から10日が経過しましたが、オミクロン株より感染力が強いとされる、派生株への置き換わりで新規感染者数が依然として高いレベルで推移し、再度増加する恐れもあります。栃木県では、4月10日迄「感染再拡大防止徹底期間」として、基本的な感染対策を呼び掛けています。

 さて、明治時代から約140年間、日本での成年年齢は20歳と民法で定められていました。この民法が改正され、今日4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に変わります。これによって、18歳、19歳の方は今日が新成人となります。

今、世界的には、成人年齢は18歳とするのが主流で、日本でも憲法改正に関する国民投票の投票権が18歳と定められ、平成28年には公職選挙法が改正され投票できる年齢が18歳に引き下げられるなど、重要な判断に18歳から参加してもらおうという動きが進められてきました。こうした流れの中、市民生活に関わる基本的なルールを定める民法でも18歳以上を「大人」として扱うべきではないかと議論されるようになったのです。背景には少子高齢化が進み、働く人が減ってきているという現状もあり、若者にこれまでより早く社会参加してもらって、社会に活力を与えたいというねらいもあります。

 今回の改正で、大きな変更点の1つは、18歳になったら1人で契約を行えるようになることです。例えば、親などの同意がなくてもクレジットカードを作ったり、携帯電話契約をしたりできることになります。車を買いたい、1人暮らしをしたいと思えば、ローンを組んだり、アパートの契約をしたりすることも法律上は可能になります。ほかにも、有効期間が10年のパスポートの取得や、性同一性障害の人の性別変更の申し立てなども18歳からできるようになります。さらに、医師や公認会計士、司法書士などの資格を得られる年齢も、18歳からに引き下げられます。ただ、医師については6年間学ぶ必要がある大学の医学部を修了しないと国家試験を受験できないため、現実的には18歳で資格を得るのは難しいとされています。また、裁判員に選ばれるようになる年齢も20歳から18歳に引き下げられます。日本と外国、両方の国籍を持っている人の国籍選択は、これまでは20歳を基準に一定の期限が定められていましたが、これからは18歳を基準に期限が定められます。

懸念材料としては、消費者団体や専門家が指摘しているように消費者被害です。成人したばかりの若者を守る制度は、十分に整っていないのが現状です。18歳は、大学に進学したり、就職したり人生の節目になり、親元を離れて1人暮らしを始める人も数多くいます。社会との接点がそれまでになく増えますが、社会経験や判断力に乏しい状況です。対応策として様々に言われていますが、「学校教育の中で行えば良いのでは」という意見もありますが、今、教育現場では教員の多忙に対応するための働き方改革が進められています。その中で、更に新たな教育カリキュラムを押込むと、弊害が発生するのではないか不安があります。このようなことを考えると、学校にばかり押し付けるのではなく、家庭教育の充実を図る取り組みが必要なのではないでしょうか。

 現在の日本に於いて、毎年各地で発生している「地震、豪雨などの自然災害」、「コロナ感染症対策」や、対岸の火事とは受け止められない「ロシアのウクライナ侵攻」などの「安全保障・エネルギー問題」など、対応しなければならない課題は山積しています。今回の改正は、少子化に対応するための活力ということだけではなく、直面している様々な課題に対しても、若い皆さんの力と想像力を活かして、共に乗り越えていきたいと考えています。連合栃木としても既に政治参加について意識した取り組みを行っていますが、更に新成人の皆さんを意識した幅広い運動を進めて参ります。ご支援とご協力よろしくお願いします。