花粉症と労働生産性

1月17日から適用されていた「まん延防止等重点措置」が、今月21日で解除される見込みとなりました。今回の第6波では、高齢者施設のクラスターが多発し、亡くなられた方の9割が70歳以上を占めていることから、福田知事は高齢者での感染拡大を早期に抑える取り組みを行うこととしました。全国のコロナワクチン高齢者施設の3回目接種は、95%が完了しており、栃木県の接種率も全国を上回る96%となっています。しかし、解除されたからと言って油断はできません。学生の皆さんは春休みを迎え家族や友達と出かける機会も多くなり、企業などでは歓送迎会やお花見なども行われるでしょう。引き続き感染症対策を講じていただき、家庭や職場に感染症を持ち込まない取り組みに心掛けるようお願いします。

さて、3月も中旬、急に気温が上がり春めいた陽気が続いています。この時期は、花粉の飛散が特に多くなり、今や日本人の2人に1人が花粉症と言われ、国民病と呼ばれています。日本でこれだけのスギ花粉症患者が増加した理由には、戦後の歴史が背景にあります。 焼け野原になった日本の復興のために、日本各地でスギが大量に植栽されました。そして、花粉を多く産出する樹齢30年ほどのスギの木が1960年代には各地で増え、1970年代にスギ花粉症が急速に増加した、というわけです。ただ、花粉の大きさは約30ミクロンほどで、人の呼吸器の深部に入るには大きすぎます。花粉は、何らかの衝撃を受けると破裂してしまい、その時にアレルゲン物質を放出します。この物質が、アレルギーを引き起こす原因とされています。花粉を破壊する大気汚染物質(自動車の排気ガスやゴミ焼却炉などから出る炭素物質、金属の微粒子、黄砂、PM2.5など)とされています。昔、花粉症がなかったのは、花粉がなかったわけでも、体質が現代人と違っていたからでもありません。今、花粉症に悩む人が急増したのは、環境が変わったからです。環境が変わったことによって、異物を体の外に出すという優れた作用が、アレルギー反応という自分自身を苦しめるものに変わってしまい、花粉症はまさに現代病です。

2020年にパナソニックが、20~60歳の花粉症患者の社会人1,324人を対象に「社会人の花粉症に関する調査」を実施しました。得られた回答から、花粉症による労働力低下の経済損失額は、1日当たり約2215億円であると試算しました。花粉症の症状が自身の仕事のコンディションに影響しているかを聞いたところ、79.0%が「影響がある」と回答し損失額を割り出したということです。仕事のパフォーマンスに最も影響を与える症状の上位は、鼻水、鼻づまり、くしゃみと鼻に起因する症状が仕事のパフォーマンス低下を招いているようです。

昨日、2022春闘は、自動車や電機の大手が「満額回答」と大きく取り上げられ、順調な滑り出しとなっていますが、今後の舞台は中小企業労組に移ってまいります。感染症やウクライナ侵攻問題など厳しい状況ですが、引き続き納得のいく結果が得られるよう最大限支援をしてまいります。今次春闘では、日本の賃金は、1997年をピークに上がっていない、国際比較で低位にあるとして、「未来をつくる。みんなでつくる。」を掲げて取り組んでいますが、一方で、「賃金が上がらないのは労働生産性が上がっていないからだ」という説があります。日本生産性本部によると、日本の労働生産性は19年度、主要7カ国(G7)で最低で、日本は47.9ドルだが、米国は77ドル。6割にとどまっている。統計がさかのぼれる1970年以降、日本はG7最下位が続いています。日本から花粉症が無くなれば、労働生産性は上がり賃金も上がるとは言いませんが、多少の影響はあるのではないでしょうか。今植栽している杉苗は花粉が出ないものにしています。更にカーボンニュートラル実現によって環境が良くなれば、アレルギー反応も少なくなることでしょう。私もご多分に漏れず花粉症(ヒノキ花粉)なので、5月の連休くらいまで辛い日が続きます。花粉症の撲滅には長い道のりになりますが、連合栃木は、2050カーボンニュートラル実現に向けて、積極的に進めて参ります。