過労死防止月間について


 11月も中盤を迎え、紅葉も里に下り街路樹の木々が美しさを増しています。新型コロナウイルス感染症については、感染者数も大幅に改善され、明るい兆しが見えるようになりました。私たち労働組合としては、働く仲間の飲食店、旅館・ホテルなどの宿泊業やバス・タクシーなど交通産業など、痛んだ雇用状況を鑑みると、経済活動に大きくシフトしなければならない局面でありますが、次の感染症にも備えなければなりません。引き続き感染状況に応じた判断と、これから忘年会、新年会、年末年始を迎えますので、参加者についてはワクチン接種済であることや、感染症対策を施された店であることなどを考慮いただき、ご対応を賜りたいと考えていますよろしくお願いします。

 さて、厚生労働省では、「過労死等防止対策推進法」に基づき、11月を「過労死等防止啓発月間」と定め、過労死等をなくすためにシンポジウムやキャンペーンなどの取組を行っています。栃木労働局によると、2020年度、県内で労使協定に定める残業上限を超えるなど違法な時間外労働をさせた事業場が231カ所あったことが16日までのまとめで分かりました。このうち健康障害リスクが高まるとされる「過労死ライン」を超える長時間労働をさせた事業場は105カ所に上っており、社会問題となっている長時間労働は、是正のための法整備や啓発が進むが、なお後を絶たない現状が浮き彫りとなりました。長時間労働が認められた業種は多岐にわたっているが、ネット通販の普及に伴って多忙化している道路貨物運送の事業場では、最長で272時間/月の時間外労働を確認したそうです。製造現場では、慢性的な人手不足により、一部の従業員に複数の業務が集中する「しわ寄せ」も要因になり、旅館業に於いても最長136時間/月の時間外労働も確認したそうです。一方、21年度にかけては、巣ごもり需要の高まりを受けて、小売りや物流業で業務量が増え、製造業の一部では部品供給不足の影響で業務縮小もあり、業種に変化があるということです。

私たちは、コロナ禍の中で「自粛」ということに慣れてしまい、全体が停滞しているような考えになっていて、長時間労働はあり得ないという感覚に陥っていますが、表に現れないところで相変わらず長時間労働が行われています。各構成組織に於かれましては、労連、単組、支部、分会でこのような長時間労働が行われていないか再確認し、長時間労働撲滅、過労死“ゼロ”に向けた取り組みの強化をお願いします。

 関係するニュースがありましたので紹介します。皆さんもネットなどでご存じかもしれません。パンダのマークでおなじみの、〇〇〇引越センター。リーズナブルな価格と、きめ細かなサービスがウリで、引っ越し件数は業界第1位をキープし続けています。しかし、その実態は、「給与形態は不明瞭で基本給は6万~8万円、繁忙期には120時間を超える時間外労働、横行するパワハラ、事故や労災隠しなどが常態化している」と言うのは同社で働く〇〇〇引越センター労働組合執行委員長。給与面や職場環境の改善を求め、川崎市にある宮前支社のメンバーを中心とした労働組合を立ち上げたそうです。メンバーは20代の若者たち。社会運動とは縁遠かった若手従業員と会社との闘いが始まりました。「長時間労働や給与形態などこれまで何人もの従業員が訴えてきても改善されないまま、今回も私たちが問題にしているひとつに時間外労働の長さがあります」支社や個人によって異なるが平均月80時間を超え、繁忙期には月100時間以上の時間外労働は常態化しているということです。このニュースを見たときに、月6万~8万の基本給は、最低賃金法を違反していることや、業界では6年連続売り上げ日本一の謳い文句を掲げていますが、労働者軽視もいい加減にしてほしと思いました。今回このような形で表面化しましたが、全国には言いたくても言えない、低賃金や残業代の未払い、年次有給休暇がもらえない、休みたくても休めない等、様々な問題が埋もれていると感じています。勇気を出して声を上げてもらいたい。連合では、労働相談を開設しています。栃木県内で働く皆様が、安心して働き、暮らせる社会の実現に向けて運動を展開しています。些細なことでも構いません。おかしいなと思ったら遠慮しないでお気軽に相談お願いします。
0120-154-052(いこうよれんごうに)