10月といえば、芋ほりに運動会、「食欲」「芸術」「スポーツ」「読書」「行楽」の秋と称されています。特別に暑い日もなければ、寒さを感じることもあまりなくとても過ごしやすい時期になり、行楽をはじめ何をするにも適した気候なので、充実した時間が過ごせるので、何をしてもいい時節ということなのでしょう。特に今年は、新型コロナウイルス感染症対策として、27の都道府県に緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が発出されていましたが、9月30日に一斉解除となったことから、先週の土日は久しぶりに観光地に人出があったと報道がありました。これまで抑えられた人流が戻り、規制されていた飲食店や観光業、バス・タクシーなどの交通業界にとっては、喜ばしいこととなったようです。しかし、急激な人流の増加は、次の感染拡大にも影響を及ぼし兼ねませんので、引き続きマスク・消毒・三密回避、などの予防策については徹底をお願するところです。
一方で、私たち労働者は、この9月から10月は、労働安全衛生を意識し取り組む時でもあります。全国労働衛生週間は、昭和 25 年の第1回実施以来、今年で第 72 回を迎え、今年も9月を準備月間、10月1日から7日を「全国労働衛生週間」としています。労働者の健康をめぐる状況については、過労死等事案の労災認定件数は、令和2年度802件となっており、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み又はストレスを感じる労働者は、依然として半数を超えています。また、新型コロナウイルス感染症の罹患による休業4日以上の労働災害は、令和2年に は 6,000 人以上発生しており、職場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止の為には、事業場で留意すべき「取組の5つのポイント」をはじめ、各事業場の実態に即した感染予防対策を徹底し継続することが求められます。さらに、高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境づくりや労働災害の予防的観点から、健康づくりを推進していくことが求められています。このため、高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドラインを策定し、健康づくり等の取組を推進していくこととしています。このような背景を踏まえ、今年度は、「向き合おう! こころとからだの 健康管理」を全体のスローガンとして全国労働衛生週間を展開し、事業場における労働衛生意識の高揚を図り、自主的な労働衛生管理活動の一層の促進を図ることとするとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた副スローガンとして「うつらぬうつさぬルールとともに みんなで守る健康職場」を設け、事業場における更なる感染防止の徹底を呼び掛けることとしています。(令和3年度全国労働衛生週間実施要領より)
栃木労働局のまとめで、2020年に県内で発生した労働災害の死傷者数(休業4日以上)は、前年比66人増の1,997人、死者数は7人減の9人と、現行の統計を取り始めた1974年以降で最少でした。ただ、死傷者全体の人数は過去10年間で最も多く、増加傾向が続いています。現在の状況ですが、死傷者数は前年を上回る数で推移しており、発生状況の詳細を分析しますと高齢者の転倒が、増加傾向となっています。労働現場では、コロナ禍の消費控えから回復傾向が強まり、労働力不足が聞こえている中で、高齢者雇用を促進する動きが目立っています。労働組合の立場から企業経営者にお願いすることは、労働環境の整備を進めていただくこと。労働組合の皆様には、導入にあたっては、先に述べたような要請を確認していただき、既に雇用されているのであれば、高齢者雇用の実態を把握いただき、無理な作業になっていないか等を確認いただくことをお願いします。
連合では、労働相談を受け付けていますが、現状のコロナ禍の中で労使間のコミュニケーションの欠如が、労働問題に及んでいるケースも少なくありません。コロナ禍が落ち着いてもテレワークや三密の回避から、WEB対応は止めることはないものと考えますので、知恵を出し合いお互いがお互いを尊重し、共に職場で働く仲間の皆さんの安全、安心に向けて、尚一層のご尽力をお願いします。
労働災害撲滅には、特効薬はありません。キメ細、かなそして、地道な運動の積み重ねが、結果を生むものです。“労働災害0”を目指し、粘り強く取り組んでまいりましょう!