緊急事態宣言解除と最低賃金改定について

栃木県の新型コロナウイルス感染症対策は、緊急事態宣言の解除が決定されたことから、警戒度レベルをステージ3に引き下げるとともに、10 月1日から 14 日まで「栃木県版まん延防止等重点措置」としての要請等を行うことに成りました。このことを受けて県民の中で解放感や今後の期待感が大きく膨れ上がることも容易に想定できます。誤った認識が広まると、感染のリバウンドにつながりかねませんので、マスク・消毒・三密回避、などの予防策については、今後もその必要性について改めて周知・説明を徹底すべきであるし、引き続きワクチン接種と検査の充実・徹底を進めていただくことをお願いします。また、これから冬を迎えるにあたり、季節的に新たな感染拡大も否定できないことから、今後もそうした局面においては、県民の理解と協力のもとで感染予防対策の強化を進めることが重要と考えます。その場合においても、必要な医療提供体制の構築はもちろんのこと、自粛などにより影響を受ける企業や労働者への十分な支援や助成措置について、これまで以上に実施するようお願いしたい。今回の解除によって、経済や雇用情勢が簡単に回復するとは思えませんので、いつリバウンドによって新たな行動規制が掛かるかもしれないことから、慎重に慎重を重ねることを前提に、今回の解除を契機に徐々に元の経済活動に戻していくための政策も並行的に考えていく必要があります。経済・雇用対策については、GO・TOキャンペーンだけにこだわることなく、新たな支援策の検討をお願いするところです。

 さて、2021年度栃木県最低賃金は、本日10月1日が発効日となっています。中央最低賃金審議会は7月14日、A~D全ランク同額28円とする2021年度地域別最低賃金額改定の目安を取りまとめました。使用者側は、昨年同様コロナ禍による緊急事態の継続と雇用への影響を理由に「有額の目安を示すことは困難」と主張する中で有額の目安が示されました。一方私たち労働側連合は、本年度の目安額28円は、最低賃金が時間額に統一された2002年以降の最高額であり、かつ、目安の段階で長年にわたり労働者側が主張してきた「800円未達地域の解消」につながるものであり、連合がめざす「誰もが時給1,000円」に向けて一歩前進したものと受け止めました。私たちはさらに、最高額と最低額の額差221円は地域の経済情勢等に見合っているのか、また、最低賃金額の地域間格差が隣県や都市部への労働力流出の一因となっているとの認識に立ち、最高額と最低額の「額差」の縮小にもつながる目安を示すべきと主張しました。今回の目安は「額差」の縮小には至らなかったものの、すべてのランクで、有額かつ同額の目安が示されたのは、時間額に統一された2002年以降初めてであり、これ以上地域間格差を広げてはならないとの労働者側主張に理解が示されたものと受け止めます。

現在の雇用環境は、パート労働者、契約・派遣社員などのいわゆる非正規労働者が雇用者全体の約4割を占める中、その労働条件改善は急務と捉え、雇用形態の違いのみを理由に労働者を低賃金で雇用することは許されません。どこで、どんな雇用形態で働こうとも、賃金は少なくとも生活できる水準を確保しなければならなりません。多くの非正規労働者のクラシノソコアゲに直結するのが、法定最低賃金の引き上げです。今回の最低賃金改定額は、28円と大幅な引き上げとなりました。最低賃金を守らなければ法律違反であることを前提に、この改定を広く県民に周知するとともに、企業経営者の皆様には、労働条件の引き下げや、労働環境の改悪、雇用問題などに至ることのないよう周知活動を含めた運動を展開してまいります。

私たち連合栃木は、全ての働く皆さんが安心して働き暮らせる地域社会を目指して運動を展開してまいります。皆様のご支援、よろしくお願いします。