東京2020パラリンピックについて


緊急事態宣言が、1都1道2府17県に発出、または延長されている中で、東京2020パラリンピックが8月24日に開幕し、9月5日まで22競技539種目が行われます。既に水泳や陸上競技で日本選手がメダルを獲得。うれしい知らせも届いています。選手の皆さんやスタッフ関係者、ボランティアの中には、私たち連合の働く仲間も参加しています。感染症には万全の対策を講じていただき、無事に終えることを願っています。

パラリンピック開催の是非については、感染爆発といっても過言でない状況の中で、中止の声が高まっていました。なぜ、緊急事態宣言下にも拘らず開催するのでしょうか。その意義について、神谷円香さん(東京新聞記者)が、大会への想いを綴っていますので紹介します。

多様性と調和。共生社会の実現。パラリンピックで掲げられる言葉はきれいごとにも聞こえる。けれど、大きなきっかけと繰り返すうたい文句がなければ、社会は動かず、世間の関心は集まらないのも現実だ。東京パラリンピックの会場が満員になる光景は、パラスポーツに関わる人たちの夢だった。大会に気軽に足を運んでくれる人はまだ少ない。新型コロナウイルス禍でなければ、観客から大声援を浴びる経験は選手たちの大きな励みになったはずだ。五輪の選手はスポーツに詳しくない人でも多くが知っている。23年前の長野冬季大会では、福祉からスポーツへとパラリンピックの見方が変わったといわれたが、その後、関心が続いたとはいえない。パラスポーツ界で知らぬ人がいない選手でも、一般的に知名度は低い。その世界はまだまだ狭いと感じる。障害のある人が皆、超人的な身体能力があるわけではないし、スポーツをするのが難しい障害の人もいる。そもそも聴覚障害や精神障害はパラリンピックの出場対象外だ。1人1人は違い、その中にスポーツに秀でた人もいる。「障がい者」とひとくくりにされがちな中で、見てほしいのはそんな当たり前の姿だ。社会を変えるきっかけはパラリンピックでなくてもいい。普段から真に共生社会への努力を皆が続けられるなら、コロナ禍で開く必要もないのだろう。けれども、社会はかえって分断が進む。だからこそ「多様性と調和」を本気で目指そうと汗を流す選手たちを、今は応援したいと思う。

「多様性と調和」「共生社会」私などは何気なく、発していますが、神谷円香さんのパラリンピックに対する思いを拝読し、現在のようなコロナ禍の日本社会を見たときに、普段から皆が意識されているならばパラリンピックでなくてもいいし、開催する必要もないと言っています。

パラリンピックの開会式に「片翼の小さな飛行機」を演じた中学2年生の和合由衣さん。演出のクライマックスとなる小さな飛行機が滑走路を飛び立つシーン。最初は周囲から「車いすを押そうか?」と提案されたそうです。生まれつき下半身と左手に障害がある和合さんは普段、電動車いすを使っていましたが、開会式は手動の車いす。それでも、「自分で走りたい」と言ったそうです。学校で左手を使う頻度を増やし、車いすを電動から手動に切り替えて、家の周りを走ったそうです。本番は雨で車輪が滑りましたが、努力が実り約20メートルを自力で走りきりました。由衣さんのその努力と想いが、見ている私たちに感動を与えてくれました。「人には誰にも翼があるんだ」ということを教えてくれたような気がします。熱戦が続きますパラリンピックという大舞台、そこに立てているということだけでも凄いことなんだと改めて感じています。選手のみなさんガンバレ!

東京2020パラリンピックスローガン
「超えろ、みんなで。」