2020東京五輪について


2日後の23日に開幕を控えた東京五輪、ソフトボール1次リーグ、日本対オーストラリア戦が福島県営あづま球場で全競技のトップをきって開催されました。結果は8対1で勝利し、幸先の良いスタートを切りました。しかし、観客席には応援する人の姿は全くなく、まるで練習試合でも行っているようでオリンピック開催とは思えない光景が映されていました。本来なら、待ちに待ったオリンピック。溢れんばかりの観客の中で華々しく、そして盛大に開幕を迎えるはずでしたが、残念でなりません。IOC総会が昨日開幕し、菅総理は開会宣言で「今回の大会は、多くの制約がありこれまでとは異なりますが、対策を徹底し安全安心の大会を実現する決意であります」と述べました。東京都では、コロナウイルス感染者が1日1,000人を超える日が続いています。オリンピック開幕を直前に控えた東京都内の感染状況について、東京都の「専門家ボード」座長を務める、東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「これまでで最大の危機を迎えている」と述べ、この数が3,000人を超えるのではないかという予想もされています。しかし、オリンピックについては、「大会はバブルの中で開催されるので、外に感染拡大する可能性はそれほど高くないが、気分が高揚し路上で酒を飲み、大声で応援することで感染リスクが高まる。」と言っています。であるならば、路上で大騒ぎをすることや、スポーツバーなどで大声を出して応援することを規制すればよかったのではないか。有観客でもよかったのではないか。ということになります。何を基準に無観客にしたのか納得がいきません。賀来教授は感染症の専門家ですから、それらについて徹底的に対処する必要があることは、認めますしそうするべきと考えます。また、経済を回さなければならないという面では、経済会など組織担当者からの声や、オリンピックを運営するIOC、JOCなどの組織からの声をトータルで受け止めて、判断するのが政治の役割ではないのか。概ね世論の反対の声に流され、メディアも取り上げ、結果的に無観客にせざるを得なかったのではないか。勿論、世論の声は大事だし尊重すべきと考えますが、一方で、強いリーダーシップ政治決断が出来ない日本社会が、決められない流れを形成しているような気がしてなりません。このことによって、結局スポンサー各社も手を引いた形となり、盛り上がりに欠けた大会になってしまうことが現実になろうとしています。

サッカー日本代表の主将、吉田麻也選手が、17日スペイン戦後に発信した内容を紹介します。
五輪をやるにあたって、国民の税金がたくさん使われていると思うんです。なのに国民が見に行けないのは、じゃあいったい誰のための、何のための五輪なのか。アスリートは当たり前ですけどファンの前でプレーしたい。僕らが子供たちにできることは、ただ家の中に閉じ込めて友達と会わずに事が過ぎるのを待つだけじゃないと思うし、もっともっとできることがあると思う。そのためにこそオリンピックを招致したんじゃないかなと個人的には思っています。ソーシャルワーカーのみなさんが毎日、命をかけて戦ってくれているのは重々理解しているし、オリンピックができるだけで感謝をしないといけない立場にあるのは理解しています。でも忘れないでほしいのは選手たちもサッカーに限らず命をかけて、人生をかけて戦っているからこそ、この場に立てている。もっと言うとマイナー競技でこの五輪にかけている人はもっといると思う。そのためにも、なんとかもう1度真剣に有観客開催を検討していただきたいと思う。

私は、以前にも申し上げたように、アスリートの皆さんがこの大会に出場するために日頃から努力を重ね、切磋琢磨してきたことを尊重し、子どもたちが将来の夢と希望として掲げられる五輪であってほしいと願っています。様々申し上げましたが、現状を考えると、無観客ということもわかりますが、すべての競技が東京のように緊急事態宣言地域で開催されるわけではありませんので、地域によってはソーシャルディスタンスを保つなど、対策を講じて有感客で開催出来ないか、そして、子どもたちに間近で、感動を与えることが出来ないか、検討していただきたいと願っています。