党首討論について


昨日、2年振りに党首討論が行われました。党首討論は、二大政党制の英国議会を参考に2000年から正式導入されました。国民の関心が高い政策課題について党首同士が、議論を深めるのが本来の姿です。しかし、2012年11月には、民主党政権当時の野田佳彦首相が安倍晋三自民党総裁とのやりとりの中で、衆院解散の意向を表明し、2日後に解散という政局の舞台にもなったこともありました。近年は、討論時間が45分と短い上に、野党の数が増えたことで各党の持ち時間がさらに絞られるため、開催の機会自体が減っています。2018年6月の安倍首相(当時)と枝野氏の討論では、首相の関与が疑われた森友・加計問題を巡って両者の質問や主張がかみ合わず、安倍氏が党首討論について、「本当に歴史的な使命は終わってしまった」と語ったことがあります。

昨日の菅首相と、私たちが支援する立憲民主党枝野代表、国民民主党玉木代表の討論について振り返ってみたいと思います。
枝野代表の発言は、大きく3点あり、1点目は、「コロナ感染症について3月に解除した緊急事態宣言は早すぎたのではないか、厳しい基準を明確にすべきだ」との意見に対し、菅首相から「ワクチン接種に全力を挙げて取り組んでいく。希望する国民全員に本年11月までに接種を終えたい」と述べました。次に五輪について「開催することで国内の感染が広がり、命と健康を脅かすことにならないか」の意見については、「感染対策、水際対策を徹底し選手や大会関係者を半分以下に絞り、さらに縮小する方向で検討する」と回答。3点目に本国会について、「補正予算の速やかな編成。LGBTの法案も成立が求められるため国会を延長すべきだ」の意見に対し、「21年度予備費は4兆円ある。国会のことは国会で決めてほしい」と述べました。

次に、玉木代表との討論では、「水際対策を強化して、安心安全を確保するためワクチンパスポート、デジタル証明書を五輪で導入してはどうか」の提案に対して、菅首相から「現在、加藤官房長官の下で検討している」と答えました。次に、プレスの方の行動をGPSで確認することについても確認し、経済対策について「ワクチン接種が進むから大丈夫ではなく、このタイミングで大規模補正、経済対策を打つべきだ」との意見に対し、菅首相から「状況を見ながら判断していく」との回答でした。その他にも日本維新の会、共産党それぞれ代表者との討論も行われました。

大きくは、コロナウイルス感染症対策、五輪の開催について討論が行われました。コロナ対策では、枝野代表から、緊急事態宣言の解除に至る厳しい対応として、東京で感染者が50人以下になるまでと具体的に表されました。枝野代表の言う50人という根拠ですが、3月の緊急事態宣言解除のタイミングが早すぎたため現在のような状況にあり、今このタイミングで、解除してしまうと同様の事態が起きかねない、ということにあります。ワクチン接種の効果は、国民全体の40%の方々が接種されて初めて効果が現れると、専門家の皆様が指摘しています。政府には、専門家会議の皆様と連携した方針策定をお願いし、仮に解除が延長となるときには、補償とセットで進めていただくことを要請します。

五輪開催については、玉木代表から総理の言う安心安全な大会にする、国民の命と健康が守られなければ開催しないという点に触れ、いくら安心安全といっても、国民の皆様は具体的な対策を示さない限り納得いかない。デジタル証明書やGPSの管理を確実に実行することで、安心安全が担保できるのではないかと提案されました。首相は、子どものころに見たオリンピックを良い思い出として語っていましたが、対策を講じずにこのまま五輪を迎えると、コロナ感染五輪として心に残ってしまいます。五輪開催まであと43日、残された期間はあまりありませんが、感染リスクの最大限回避を目指し、素晴らしい大会となることを祈念しています。