60歳以降の高齢期における雇用について


2021春季生活闘争は、コロナ禍という未曾有の危機的状況の中にあって、働く仲間の皆さんのために懸命に奮闘している職場第一線の組合員の皆さんが、しっかりと取り組んでいただいていることに感謝を申し上げます。最終の労組報告まではまだ時間が要しますので、引き続き支援してまいりますのでよろしくお願いします。

さて、高年齢者雇用安定法の改正により、企業に対する70歳までの就業確保措置が4月1日から努力義務化されます。そのことから、今次春闘では労働条件の取り組みの中で、「60歳以降の高齢期における雇用と処遇に関する取り組み」を方針に掲げ、連合全体で取り組んでいます。

健康寿命の延伸等を背景に「人生100年時代」と言われる中、高齢者の就業意欲が高まりを見せていることに加え、世界に類を見ないスピードで超少子高齢化・労働力人口減少が進む日本においては、高齢期でも年齢にかかわりなく、就労を希望する者全員が自身の能力を最大限発揮し、高いモチベーションをもって働き続けることができる基盤整備は喫緊の課題です。

今次春闘の基本的な考え方として、①60歳~65歳までの雇用確保のあり方、65歳までの雇用確保は、希望者全員が安定雇用で働き続けることができ、雇用と年金の接続を確実に行う観点から、定年引上げを基軸に取り組む。②65歳以降の雇用(就労)確保のあり方、65歳以降の就労希望者に対する雇用・就労機会の提供については、原則として、希望者全員が「雇用されて就労」できるように取り組む。高齢期においては、労働者の体力・健康状態その他の本人を取り巻く環境がより多様となるため、個々の労働者の意思が反映されるよう、働き方の選択肢を整備する。③高齢期における処遇のあり方や年齢にかかわりなく高いモチベーションをもって働くことができるよう、60歳以降の高齢期における雇用と処遇に関する取り組み方針、労働者の安全と健康の確保をはかることとして取り組んでいます。

連合総研が、「2020年度労働条件調査」を2020年9月に実施し、連合栃木加盟135組織から回答をいただきました。その中の「再雇用制度」について2016年から過去5年間の経過も含め、県内の状況について紹介します。詳しくは、連合栃木総研REPORT、No126(4月8日発行)を参照ください。2021春闘方針と照らし合わせると、殆どの組合で60歳を定年とし、60歳以降再雇用制度となっており、65歳までの継続雇用とは程遠く、対応が迫られています。働き方の選択肢では、同じ職場の同じ仕事が、81.5%と最も多く、働き方の選択肢は整備されていないようです。安全と健康管理については、「契約更新しない条件がある」と答えた組合のうち、契約更新しない事由について、「直近の健康診断の結果」が、2016年(77.1%)、2020年(65.9%)と低下傾向にあるものの依然として健康上の理由で、退職されている方が多くなっています。近年、健康寿命について囁かれていますが、健康を害して退職するようでは元も子もありません。早急の対応が求められます。

私が企業に勤め始めた1980年代は、定年年齢は55歳が一般的で、間もなく60歳に引き上げられようとしていたころでした。当時は、定年の55歳を迎えると、例えば工場敷地内の木々の剪定や芝刈りなど、専門の部署に配置され、活き活きと仕事をしていた印象がありました。しかし、現状の60歳以降労働状況は、同じ職場で同じ仕事が殆どであり、厳しい状況であろうと推察されます。平均寿命が当時と比べると7.5歳ほど長くなっていることもありますが、70歳迄雇用が当たり前の時代を迎えようとしています。誰もが健康で活き活きと働く環境整備が急務となっています。誰一人取り残されない、持続可能な社会を目指し取り組んでまいりましょう。