東京五輪・パラリンピックについて

 東京五輪・パラリンピック組織委員会会長が3日に行われた「日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会」で、女性蔑視と受け止められた発言から2週間が経過しました。この発言は、海外でも大きく取り上げられ波紋を呼びました。日本のジェンダーギャップ(男女間格差)指数は、世界で121位に留まっており、職場や地域で違和感を味わった方も多いようです。

連合栃木「労働相談ダイヤル」に寄せられた相談者の大半は、労働組合がない職場で働く仲間からです。例年では、約320件(過去5年間平均)の相談が寄せられますが、2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響から593件と相談件数が急増しました(電話:540件、メール:18件、面談:35件)雇用形態別では正社員が46%、正社員以外が54%。年代別では、50歳代が29.5%と最も多く、次いで40歳代が23.5%となり、40歳代と50歳代が全体の半数以上を占めました。この傾向は2015年も同様でした。男女別では、2015年は、男性が6割を占めていましたが、2020年は、女性が6割と逆転しました。相談内容では、「差別等」ハラスメントが最も多く、次いで「雇用関係」、「賃金関係」。ハラスメント対策関連法が2020年6月に施行されたこともあり、「パワハラ・嫌がらせ」に関する相談は増えています。また、新型コロナウイルス感染症の影響による業績悪化が原因と思われる「解雇・退職強要・契約打切」、「休業補償」の相談では、失業や休業によって将来の生活や働くことへの不安を感じている方が多いことが判った。

相談結果から読み取れるように、コロナウイルス感染症によって雇用形態では、有期・パート・アルバイト・派遣といったいわゆる非正規で働く方々、性別では女性が多く、弱い立場の方々が「パワハラ・嫌がらせ」ハラスメントを受けていることが明らかになりました。今年4月1日から中小企業にも同一労働・同一賃金が施行されます。このような状況が続くまま施行されることになれば、労働問題が増幅し、企業経営が立ち行かない状況が見て取れます。企業経営者には、管理能力の欠如による安全管理義務違反に問われることになりますが、私たち労働組合の立場としては、正規・非正規、組織・未組織を問わず、ともに働くすべての労働者に対して「パワハラ・嫌がらせ」ハラスメントなど不条理な状況に置かれていないか注視をお願いするとともに、春季生活闘争の交渉の場で使用者に強く訴えていただき、ハラスメント防止対策を講じるよう申し入れをお願いします。

 さて、東京五輪・パラリンピック組織委員会の新会長に橋本聖子氏(56)今日にも決定と報じられ、女性蔑視発言問題は解決に向かい、昨日から医療従事者を皮切りにワクチン接種が日本でも開始されました。これでいよいよオリンピック開催と行きたいところですが、コロナウイルス感染症により10の都県には、今も緊急事態宣言が発出されている状況にあり、東京5輪・パラリンピックの開催は厳しいという意見も多数聞かれており、開催まで5か月を切りましたが、島根県では聖火リレーを中止するという報道も聞かれ危ぶまれています。開催するという機運が高まっていないのは残念です。年明けに共同通信が行った世論調査によると「中止すべきだ」が35.3%、「再延期すべきだ」が44.8%で、7月開催への反対意見は全体の80.1%に達しました。コロナの状況やワクチン接種の進捗状況が、進めば世論の考えも変わるでしょう!

ここで、東京五輪・パラリンピックの開催意義を考えてみましょう。
東日本大震災から間もなく10年を迎えます。全世界に復興をアピールする機会であり、五輪競技大会は、一般的なスポーツイベントと異なり、オリンピック憲章の第1章に規定されている。「オリンピックムーブメントとは、オリンピズムとその諸価値に従いスポーツを実践することを通じて若者を教育し、平和でよりよい世界の建設に貢献することである」。つまり、オリンピックムーブメントは、スポーツを通して平和を目指す運動であり、その象徴的な場として五輪競技大会はあります。であるならば、開催することが目的にならないことを望み、世界全体で開催を喜び合いたい。しかし、時間がありません。現状を考えると、思いっきり開催に踏み切れない状況は受け止まるとして、せめて政府には、聖火リレーを止めるなど勝手な意見は言わせないような、統制を図っていただきたい。いずれにしましても現段階では、形はどうあれ開催する方向で進んでいますので、それに沿った準備を進めていくべきです。連合栃木としても素晴らしい大会になることへの協力は惜しまず進めてまいります。

~「United by Emotion(感動で、私たちは一つになる)」~
東京5輪・パラリンピックスローガン