「核兵器禁止条約」の発効決定を受けて

皆さんは朝ドラご存じでしょうか。NHK連続テレビ小説は、1961(昭和36)年、月曜から金曜まで1年間続く帯番組として始まりました。それまでにラジオで数多くの連続放送劇が人気を集めていたことから、長編小説をテレビドラマ化するという新しいジャンル「連続テレビ小説」が生まれたそうです。前々作の「なつぞら」は100作目でしたが、現在放送されている「エール」では、福島県生まれの作曲家古関裕而氏をモデルに、昭和という激動の時代に人々の心に寄り添う曲の数々を生み出したドラマ。特に18週「戦場の歌」では慰問に向かったビルマの戦場で、恩師が目前で戦死。19週「鐘よ響け」では、原爆によって多くの人が犠牲になった長崎が舞台で、戦争に負けてドン底から這い上がろうとしている話でした。朝ドラには珍しくシリアスな場面が続きましたが、作者は私たちに「戦争の悲惨さと原爆の恐ろしさ、二度と同じ過ちを繰り返してはいけない」ということを伝えていると感じました。

さて、核兵器禁止条約は、10月24日に中米のホンジュラスが批准したことで、発効に必要な50の国・地域による批准に達し、これにより本条約は、90日後の2021年1月22日に発効します。しかし、日本政府は「国際社会の分断を深める」として、この条約に反対し、批准していません。わが国には、唯一の戦争被爆国としての重要な役割と責任があり、核兵器廃絶を求める国際的な機運に対し目を背けることは許されません。核兵器保有国と非保有国との橋渡し役として、日本政府は批准への道を閉ざすことなく、核兵器廃絶の合意形成に向けた情報発信と外交努力を行うことが求められています。

栃木県原爆被害者協議会の元会長中村さんは、「みたび被爆者をつくらないというモットーで活動してきた。発効の決定は良かったが、今後核兵器廃絶をどのように進めていくかが重要。日本政府に対しては、唯一の被爆国なのになぜ批准しないのか、2021年1月22日以降に開催される締約国会議に参加して意見を聞いてほしい」と訴えています。中村元会長とは、谷元参議院議員が委員長を務める「栃木県原爆死没者慰霊碑を守る会」準備会で共に活動を継承し顔を合わせていますが、90歳という高齢です。中村元会長の想いを受け止めてさらに前進させるためには、様々な機会を捉え恒久平和の重要性を訴えていかなければならないと考えています。

広島・長崎の被爆から75年が経過しました。連合栃木は連合本部と連携し「核兵器廃絶による世界の恒久平和の実現」をめざし、被爆地広島・長崎で毎年8月に実施している平和行動をはじめ、NPT再検討会議に向けて原水禁、KAKKINとともに「核兵器廃絶1000万署名」を展開するなど、継続した運動を進めてきました。引き続き、あらゆる機会をとらえて、核兵器廃絶に向けた幅広い世論喚起などに取り組んでまいります。皆様のご支援とご協力よろしくお願いします。