旧労契法20条、最高裁判断について

10月14日、ブランド総合研究所による都道府県魅力度ランキング2020の発表がありました。皆さんも結果はご存じの通り、残念ながら栃木県が最下位となりました。メディアの発信が、「茨城県が7年連続最下位を脱出し42位に躍進!」、という見出しが躍っていました。今回の栃木県最下位の要因については、「コロナで観光客が訪れなかった」と言っていますが、それは47都道府県同じではないかと思いますし、私は最下位の結果は結果として真摯に受け止めて、下はないので上位を狙うということで、前向きに取り組んでいければ良いなと考えています。重要なことは、県民一人一人が、栃木県の魅力を感じていただき意識を高め、知恵を出し合い全体で栃木県の魅力を発信することです。次回の発表では、「栃木県最下位脱出!」の見出しが躍ることを祈念します。

さて、10月13日および10月15日、最高裁判所第3小法廷および第1小法廷は、旧労働契約法第20条違反であるとして、有期契約で働く労働者が賞与、退職金、扶養手当を始めとする各種手当の不支給の是正を求めた3つの事件(大阪医科薬科大学事件、メトロコマース事件、日本郵便事件)の判決を下しました。日本郵便事件においては、是正を求めた各種手当および休暇制度について、雇用確保が目的で、相応が継続的な勤務が見込まれることから「不合理である」との判断を下しましたが、大阪医科薬科大学事件およびメトロコマース事件については、法が禁じる「不合理な格差と認められる場合はあり得る」との考えを示す一方で、非正規労働者に賞与、退職金を支払わないことが不合理な格差とまでは言えないとし、均衡考慮がなされなかった。

日本の人口は1億2700万人あまり。就業者人口は約6400万人。企業・団体に雇用されて働く人は約5660万人、そのうち有期労働者、期間、派遣、パート、アルバイトなどいわゆる非正規雇用労働者は、2165万人、38.25%(総務省統計局調べ・2019年)にも及んでいる労働形態の現状を踏まえると、正規社員と非正規との不合理な格差是正を目指す「同一労働同一賃金」制度は、今年4月から大企業に導入され、2021年4月には中小企業に導入されることになっており、今回の判断は、今後の運用に影響が出ることが予想されます。また、コロナ禍に於いて栃木県内の雇用情勢は、有効求人倍率が2か月連続0.97(7月)0.95(8月)と1倍を下回り、コロナによる失業者も増加する中で、最も影響を受けているのは、非正規で働く方々となっているのが現状です。

連合は、パート・有期雇用で働く者の待遇の改善、公正な処遇の実現を方針に掲げ、労働条件の改善に取り組んできました。働く現場においては、パート・有期雇用の仲間が基幹的役割を果たし、責任ある仕事を任されていることも多いため、今後も非正規雇用労働者の処遇改善および納得性の向上に向け、非正規雇用労働者の組織化をはじめ、正規雇用の促進等、総合的な取り組みを継続していくことが重要であると考えています。今回の最高裁判断が、企業・雇用主側で、解釈され不当な判断がされることが懸念されます。

連合栃木は、栃木県内で働くすべての皆様が不当に差別されることなく、労働の尊厳が守られ、働きがいを持てる社会をめざして、企業規模間や男女間格差などの是正に向けて、構成組織・地域協議会と連携し、引き続き取り組んでまいります。皆様のご理解とご支援お願い申し上げます。