「with」コロナについて

9月7日から8日にかけて、沖縄・九州地方を襲った大型で非常に強い、戦後最大級と目されていた台風10号は、九州西岸を北上し対馬方面に向かいました。亡くなられた方や、被災され怪我をされた方々にお悔やみとお見舞いを申し上げます。九州地方では、7月豪雨で被災に遭われ復旧の矢先のところもあり、二重三重のご苦労で、お気持ちを察し一日も早い復興となるよう祈念申し上げます。今回のこの台風は、事前に戦後最大級との予想もあり、避難や対応を早くから呼びかけたことが功を奏し、これだけで済んだという見方もされています。備えあれば患いなしのことわざの通り準備を怠るなということです。毎年台風は、20ほど発生するようです。それを考えますと今年は半分ですので、引き続き対応してまいりましょう。9月に入り暦の上では「秋」となりましたが、暑い日が続いています。お身体ご自愛ください。

さて、コロナウイルス感染症対策については、9月末まで継続するとしていたイベントやプロスポーツの人数制限を、今月19日にも緩和する方向で検討に入るなど、全国的な感染が落ち着きつつあると判断しています。このような中で、今注目されている考え方が「withコロナ」の社会についてです。労働者の立場から考えてみたいと思います。

連合栃木総研2020共同調査研究「新型コロナ禍に於ける働き方や生活への影響」と題し、7月にインターネット調査を行い830人から回答をいただきました。その中で勤務先(事業所)が感染防止で取り組まれた内容について聞いたところ、24.5%の方が在宅勤務テレワークと答えています。3密になりがちなオフィスワークでの感染防⽌対策と業務の両⽴を考え、テレワークを始めた事業所が多くあることが判ります。次の質問で、希望する働き方について聞いたところ、「毎日職場に出勤したい」と回答した人が、36%と最も多く課題もあるようです。今、コミュニケーション30と題し、連合栃木加盟組織を訪問していますが、コロナ禍に於ける働き方の対応で、在宅勤務やテレワークを行った企業は、大変多くなっています。しかし、先ほどの回答にもあるように不安に感じている方も多いようですので、対応策を講じた事例を紹介したいと思います。職場環境を大きく変えたのに合わせて、ある事業所で力を入れたのが、従業員一人一人に不安や困ったことがないか丁寧に聞き取りを行い、従業員からコミュニケーションが取りにくく1⼈だけで仕事をしていると不安になるという声があったことから、それぞれの部屋にモニターとマイクを設置し、オンラインで常時つなぐことにしたそうです。離れていても互いの様⼦がわかり、気軽に声がかけられるようになったことで、従業員の戸惑いは徐々に解消されたそうです。顧客に対するサービスも⼤きく変え、当面の措置として、来客や訪問はいっさい中止して対応を電話やインターネット上のみに制限することや、給与計算や雇用保険、助成⾦申請など、緊急性の高い業務を優先して、通常⾏っている細かな事務⼿続きなどのサービスは遅れることを伝えたそうです。「サービスの縮⼩を顧客に伝える際はクレームが来るのではと考えていましたが、実際には1件もなく、逆に『⼤変ですね』と励ましをもらい、ありがたく思いました」と話していました。感染して仕事ができない環境になると客先にさらに迷惑をかけてしまうので、できないことは『できない』と⾔える勇気が必要なんじゃないかと思います。

雑貨店では緊急事態宣⾔が出された時から通信販売だけで営業していましたが、先⽉末からオンライン会議ツール「Zoom」を使って買い物ができるサービスを始めたそうです。客が店のホームページを通じて利用したい日時を予約すると、その時間、店内にいる タブレット端末を持った店員と会話ができます。そして、求めている商品の種類やイメージを伝えると、店員がさまざまな商品の映像を映しながら、特徴や値段などを説明します。「新型コロナウイルスの影響で外出できない⼈たちに買い物を楽しむ機会を提供したい。店としても家賃を払い続けなければならないので、少しでも売り上げにつながってくれればいい」と話していました。

経営学に詳しい京都⼤学経営管理⼤学院の⼭内裕准教授は、「厳しいのは、店にやって来た客にサービスや商品を提供し価値を産むという、今までの枠組みがもはや成⽴しなくなっていること。そうした中でオンラインでの仕事や 在宅勤務などいろんな不便もあるが、それぞれのお店や企業が自分たちの価値を見つめ直し、新しい活動を始めている。試⾏錯誤を通じて、⼀時しのぎで終わる取り組みもあれば、今後さらに発展してイノベーションにつながる取り組みも出てくるだろう」「今後は客とのコミュニケーションが大事になる。サービスは1つの文化なので、単に手を洗ってくださいとことばで表現するだけではなく、徹底して安全管理をし、客が『すごいな』と思って安⼼感につながるような全体の文化を作っていくことが重要だ」そして、客の側も意識を変える必要があると指摘します。「サービスは店が一方的に提供するものではなくて、客も一緒に作るもの。細かいところまで徹底して対策している店を見抜いてあげて、評価する。ただ単に安全でおいしいものを出せというだけではない。今後そうした対応が、客の側の責任として降りかかってくるだろう」と言っています。

連合として、このような働き方に於いて労働者に寄り添い、問題課題に対応していかなければなりません。また、労働協約など働き方の環境整備も進めなければなりません。引き続き構成組織、地域協議会、関係部署と連携し、取り組んでまいります。今回は、「withコロナ」働き方について触れましたが、引き続き様々な職種業態にスポットをあてて述べていきたいと考えています。皆様からご意見ご要望などありましたらお寄せいただきますよう、お願い申し上げます。