緊急事態宣言全面解除について

5月25日、新型コロナウイルス特別措置法に基づき47都道府県に発令された緊急事態宣言が、約一か月半振りに全面解除されました。皆さんはどう感じているでしょうか?私はとても長かったと感じています。しかし、長いトンネルを抜け出したと、諸手をあげて喜べず今後予想される第2波、第3波に備えなければなりません。その意味も込めて昨日、連合栃木として、栃木県に対し“新型コロナウイルス感染症対策に関わる要請”を行いました。詳細については、メディアにも取り上げられましたので省略しますが、要請後の福田知事との意見交換では、コロナウイルスが消滅して、全面解除したわけではないので、引き続き対応していくことや情報の共有を行う等連携していくことを確認しました。

さて、先週の新聞各紙で掲載の“現論”をご覧になった方も多いと思いますが、コロナに関して「競争社会」の限界、文明の価値観を見直す。と題し投稿がありました。(総合研究大学大学長:長谷川眞理子氏)抜粋して紹介します。

人類は、1万年前に農耕と牧畜を発明したことで生活様式を劇的に変えた、それに伴って欲望や価値観が劇的に変わった。人類は200万年前からサバンナに進出し植物の採集と動物の狩猟を生業とする生活をはじめ、食料を求めて放浪する移動生活であった。これが200万年の人類史上の中で199万年続いたのだから、狩猟採集生活は大変に持続可能な生活様式だった。狩猟採集生活では、手に入るものだけを食べ、食料が不足した時には飢えを忍んでじっと耐える。食料が豊富になれば大喜びだが、貯蔵することができないので、余分にとることはしない。このような社会に住んでいるときの人々の欲望や価値観とはどんなものだろう?現代のように「一生懸命に働いて収入を増やす」という概念が意味をなさない。人々が働いて収入を増やすことに価値を置くようになるのは、農耕と牧畜以降の世界になってからで、余剰産物の蓄積が出来るようになったからである。その結果、都市化も進んだが、ウイルスは人間がたくさんいる場所で次々と宿主を乗り換えて繁栄する。都市はウイルスにとって「良い環境」だ。都市文明が進み、分業化が進み、工業化した産業社会、高学歴知識基盤社会と進むにつれ、人々の間の競争はどんどん激しくなっていった。個人の競争、会社同士の競争、国家間の競争もあり、この歯車が回り始めると競争から降りるわけにいかなくなる。しかし、自然の法則としてその競争に資源をつぎ込むことのコストが利益よりも大きくなった時点で限界となり別の方向性が進化する。経団連が提唱する新社会「ソサエティー5.0」情報化技術の更なる発展で社会が変わると言っている。新型コロナの蔓延の影響も加わって、これまでの価値観も変わるのではないか?農耕民は、狩猟採集民が持たなかった価値観を身に着けたのだ。これまでとは様変わりした情報化社会の住民は「より多く、強くなって、他者に勝つ」というのとはまた別の、新たな価値観を持つようになるだろう。

長谷川先生は、コロナウイルスの問題や現代社会の価値観、について触れています。人類は、文明の発展と共に生活様式を変えてきました。それは必然的なものだったのかもしれません。私たちは、今回のコロナウイルスで全世界的に多くの犠牲を払い新たな価値観を見出しながら、新しい生活様式を受け入れていかなければなりません。連合は引き続き新型コロナウイルス感染症対策に栃木県をはじめ関係団体と連携し、取り組んでまいります。